「うちの会社、AIに聞いたら出てきますか?」── 2026年に入ってから、この質問を受ける機会が増えました。
BtoBの発注先探しは、検索エンジンで比較記事を読んで資料請求する、という経路だけではなくなっています。買い手はまず生成AIに「〇〇を支援している会社を教えて」と聞き、候補の会社名を得て、それから公式サイトで裏取りをして問い合わせに進む。この経路では、これまで名前を知られていなかった会社が候補に入ることもあれば、検索順位では上位の会社が候補から外れることもあります。
本記事は、会社レベルの話に絞ります。「AIに候補として挙げられる会社と、挙げられない会社は何が違うのか」「候補に挙がった後、公式サイトで裏取りされたときに落ちないためには何を整えるか」を、実務の手順として整理しました。個別の記事をAIに引用されやすく書く方法(記事レベルのGEO対策)は、末尾で紹介する既存の記事に譲ります。
買い手の経路が変わった ── 「AIに聞く」「候補を知る」「公式サイトで裏取りする」
従来の経路は、検索エンジンで「〇〇 会社 比較」と調べ、比較記事やランキングを読み、気になった数社の資料を請求する、というものでした。この経路では、検索結果の上位に出ること、比較記事に掲載されることが、候補に入るための条件でした。
いま増えているのは、次の3段階の経路です。
- 発見:買い手が生成AI(ChatGPT、Gemini、Perplexity、Copilot など)に、自社の状況や条件を言葉で伝え、「こういう会社はあるか」と聞く。AIが候補の会社名と、その根拠を返す
- 比較:AIの回答に出た数社を、同じAIの中で、あるいは検索で比べる。「A社とB社の違いは」「費用の目安は」といった追加の質問で絞り込む
- 裏取り:候補の公式サイトを開き、AIの回答が正しいか、会社の実態はどうかを確認する。ここで問い合わせに進むか、候補から外すかが決まる
買い手側のこの行動は、2026年の調査で数字として確認されています(記事末尾で紹介する Prollect Research #04 を参照してください)。本記事では数字の引用は行わず、その調査が示した経路を前提に、選ばれる側の実務を扱います。
会社は3段階のどこかで落ちている
「AI検索で選ばれない」と一口に言っても、落ちている場所は会社によって違います。
- 発見されない:買い手の言葉で聞いたときに、そもそも候補に挙がらない。AIが参照できる情報の中に、その会社を「〇〇を支援する会社」として説明できる材料が足りない
- 比較で落ちる:候補には挙がるが、「費用は」「実績は」「どんな会社向けか」と聞かれたときに、AIが答えられる情報がなく、他社が選ばれる
- 裏取りで落ちる:公式サイトを開いたときに、AIの説明と内容が食い違う、実績や体制が確認できない、更新が止まっている。買い手が不安になって離れる
3つのうち、記事レベルのGEO対策が効くのは主に「発見」の段階です。「比較」と「裏取り」で落ちている会社に、記事を増やしても効きません。会社としての情報の置き方を直す必要があります。
「選ばれない会社」の公式サイトに共通すること
候補に挙がった買い手が公式サイトで裏取りをするとき、確認したいのは「この会社に頼んで大丈夫か」です。次のような状態の公式サイトは、裏取りに耐えられず、候補から外れやすくなります。
- 何をする会社か、一文で書かれていない。トップページが理念やキャッチコピーだけで、事業内容を読み取るのに時間がかかる。AIが「〇〇を支援する会社」として説明する材料がない
- 実績・事例が無い、または古い。数年前の事例しかない、社名も業種も伏せられていて実在感がない
- 料金の目安が無い。「お問い合わせください」だけで、レンジも料金体系も価格の考え方も示されていない
- 表記が場所によって違う。会社名・サービス名の表記が、公式サイト、検索結果、比較サイト、プレスリリースでばらばらで、検索や比較サイトでの裏取りで別の会社に見える
これらは、AIに引用されるための特別な技術ではなく、人が裏取りするときに見る項目です。AIは公式サイトを含む公開情報から回答を組み立てるため、人が裏取りできる情報が置かれていれば、AIも同じ情報を根拠として使えます。逆に、人が読んで分からない公式サイトは、AIにも説明できません。
AI検索で選ばれるための実務手順(会社レベル・6ステップ)
手順1:買い手の言葉でAIに聞き、現在地を記録する
最初にやるのは、自社の現在地を知ることです。買い手が実際に使いそうな言葉で、複数の生成AIに聞きます。「〇〇を支援している会社を教えて」「〇〇の課題がある中堅企業に合う支援会社は」「A社とB社の違いは」といった聞き方を、数パターン用意します。
記録するのは次の3点です。
- 自社が候補に挙がったか(どのAIで、どの聞き方のときか)
- 挙がった場合、AIが根拠として引いたのはどのページ・どの情報か
- 挙がらなかった場合、代わりに挙がったのはどの会社か、その会社はどんな情報で説明されていたか
この記録が、以降の手順で「何を直すか」を決める材料になります。競合の見つけ方としてのAI検索の使い方は、競合サイト調査の記事で別途扱っています。
手順2:「何をする会社か」の一文を決め、すべての場所で揃える
AIが会社を候補として挙げるとき、必要なのは「この会社は〇〇を、△△向けに提供している」という説明です。この一文が公式サイトの中で揺れていたり、外部の掲載先ごとに違っていたりすると、AIは会社を一つの像として説明できません。
「誰向けに、何を、どう提供する会社か」を一文で決め、トップページ、会社概要、サービスページ、SNSのプロフィール、プレスリリースの署名、外部の掲載先で、同じ一文(少なくとも同じ要素)が使われている状態にします。会社名・サービス名の表記ゆれ(略称、英語表記、旧名称)も、この段階で一つに揃えます。
手順3:公式サイトを「裏取りに耐える」構成にする
買い手が裏取りで確認する項目を、公式サイトのどこで答えているかを棚卸しします。次の表を使うと、空欄が見えます。
| 買い手が確認したいこと | 公式サイトで答える場所 | 置くべき内容 |
|---|---|---|
| 何をする会社か | トップページ・会社概要 | 手順2で決めた一文。事業内容の箇条書き |
| 対象企業(誰向けか) | サービスページ | 想定する企業規模・業種・部門。合わないケースも書く |
| 何をどこまでやるか | サービスページ | 提供範囲。進め方と期間 |
| 含まれないもの | サービスページ | 支援範囲に含まない作業・成果物。別料金になるもの |
| 料金の目安 | サービスページ・料金ページ | レンジまたは料金体系と、価格の考え方。「要相談」だけにしない |
| 実績はあるか | 事例・実績ページ | 直近の事例。業種・規模・課題・やったこと・結果。社名が出せない場合も、業種と規模は書く |
| 誰がやるのか | 会社概要・代表/担当者ページ | 名前・経歴・顔写真。何を専門にしている人か |
| いま動いている会社か | 各ページの更新日・お知らせ | 更新日の表示。直近の活動(公開資料、登壇、調査など) |
| 次に何をすればいいか | 問い合わせ・相談ページ | 相談の入口が一つで分かる。何が起きるか(所要時間・費用の有無)を書く |
ポイントは、「載せている」ではなく「裏取りに使える形で載せている」かどうかです。事例が「多数の企業を支援」だけでは、裏取りになりません。費用が「要相談」だけでは、比較の段階でAIが答えられません。
手順4:自社にしか出せない一次情報を置く
手順3までは、どの会社でも同じように整えられる項目です。そこから先で差がつくのは、自社にしか出せない情報があるかどうかです。自社で取った調査データ、実際の支援で起きたことの記録、自社の失敗と検証の実録、独自の判断基準や手順。こうした一次情報は、AIにとって「他では得られない根拠」になり、買い手にとっては「この会社は実際にやっている」と判断する材料になります。
一次情報は、量産できません。だからこそ、他社の記事を要約したような汎用的なコンテンツより、会社の判断材料として重く扱われます。年に数本でも、自社でしか書けないものを公式サイトに置いていくことが、会社レベルのAI検索対策では中心になります。
手順5:外部での言及と、公式サイトの整合を取る
AIは公式サイトだけを見ているわけではありません。プレスリリース、業界メディアの掲載、比較サイト、登壇情報、SNSでの発信など、外部の情報も参照します。ここで公式サイトと食い違いがあると、AIの説明が揺れ、買い手の裏取りでも不信につながります。
外部に出ている自社の情報を一度洗い出し、会社名・サービス名・事業内容の説明・代表者名が公式サイトと一致しているかを確認します。古い掲載で修正できないものは、公式サイトの側に「旧サービス名〇〇は現在の△△です」のように、つながりが分かる記述を置きます。
手順6:AI経由の到達を測る
最後に、AI検索からの到達を測れるようにします。アクセス解析の参照元に、chatgpt.com や perplexity.ai などのドメインが現れ始めているかを確認します。あわせて、問い合わせフォームや初回の打ち合わせで「何で当社を知りましたか」を聞く際に、「AI検索(ChatGPT など)」を選択肢に入れます。
AI経由の到達は、検索エンジン経由と別の動きをします。混ぜて集計すると、どちらの施策が効いたのかが分からなくなるため、参照元は分けて見ます。手順1で記録した「候補に挙がるか」の確認は、四半期に一度など、定期的に繰り返して変化を追います。プロレクト自身も2026年9月からAI経由の到達の計測を始めたところで、結果は分かり次第この記事に追記します。
プロレクトで試したこと
プロレクトでも、買い手が使いそうな言葉で生成AIに聞き、どの会社が候補に挙がり、自社が出るかを確認するところから始めました。その経緯と結果は、競合サイト調査の記事の「プロレクトで実際にやり直した競合調査」に書いています。
その結果を受けて、公式サイト側で見直したのは次の点です。
自社でも、AI検索で候補に挙がる会社の公式サイトを見たあと、prollect.jpの構成を作り直しました。サービスを2つの入口に整理し、それぞれに料金・期間・打ち合わせの回数・含まれないもの・解約条件を1ページ内に明記する形にしました。以前は「受注導線設計を支援します」という説明が中心で、買い手が裏取りしようとしても、何をいくらでやるのかが公式サイトから読み取れない状態だったためです。
一次情報については、自社で実施した買い手側の調査を「Prollect Research」として公開し、自社サイトの検索流入が落ちてからの再構築の過程を、数字とともに連載として公開しています。どちらも、他社の情報を要約したものではなく、自社で取ったデータと自社で起きたことの記録です。
まとめ ── 記事を増やす前に、会社として「裏取りに耐える」状態を作る
AI検索で選ばれるかどうかは、個別記事のテクニックの前に、会社として「何をする会社か」が一文で説明でき、公式サイトで裏取りに耐え、他社にない一次情報を持っているか、で決まります。順番としては、手順1で現在地を記録し、手順2〜3で公式サイトを整え、手順4で一次情報を足し、手順5〜6で外部との整合と計測を続ける、という流れです。
買い手の行動の変化を裏付けるデータは、次の調査レポートにまとめています。AI検索の利用実態、候補の見つかり方、裏取りの手段、売り手側の対応状況を、国内の調査データで整理したものです。
出典・参考:Prollect Research #04「AIに選ばれない会社は、選ばれない」
記事レベルのGEO対策について
個別の記事をAIに引用されやすく書く方法は、次の記事で扱っています。会社レベルの土台を整えたうえで、あわせてお読みください。
- 生成AI時代のSEO記事制作ガイドライン(GEO対応):AIに引用されるコンテンツ設計と、記事制作のガイドライン
- ChatGPTでコンテンツマーケティングはどう変わるか:E-E-A-Tと一次情報戦略、GEO/LLMO対応の構造
- SEO記事のインデックスされない時の原因と解決策:そもそも検索エンジンやAIに読まれる前提を整える
自社の公式サイトが「候補に挙がり、裏取りに耐える」状態になっているかを確認したい方は、プロレクトの無料相談で、現状の整理からご一緒します。